旅とビールとその日記

ずーっと旅をしていたい。

ヨコハマトリエンナーレ2017-1<横浜美術館>

もうだいぶ前のことになってしまいましたが、横浜トリエンナーレのことを書こうと思います。

横浜トリエンナーレへは毎回行っていて、当然2017年も行くつもりでした。暑い夏が終わったらゆっくり回ろう…と思ってい他のですが、気づけばあっという間に11月。あと1週間で終わってしまう!と、慌てて出かけたのでした。

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まずは本会場の、横浜美術館へ。入り口の柱に飾られているのは何かというと、救命胴衣です。奥のオレンジ色のものはボート。

f:id:over-flow:20171101133736j:plain▲「安全な通行」アイ・ウェイウェイ

「難民」をテーマにしたインスタレーションで、救命胴衣もボートも実際に使われたものだそうです。目をこらすと汚れが見て取れました。

2017年の横浜トリエンナーレのテーマは、<「接続性」と「孤立」から世界を考える>。インターネットを通じて人々が世界と結びつくようになった現代の「つながり」や「孤立」はどんなものなのかを、アートを通じて考えるというものです。

f:id:over-flow:20171101134802j:plain▲平日の昼間ですが、会期終了が近いからか結構な人出。

コンセプトなどはきちんと読んで向かったものの、作品を読み解くとか、そういう難しいことを考えながら作品を鑑賞するのはどうも苦手です…。あんまり深く考えずに、その時の自分が感じたことを大切にしたいな、と。どんな作品でも、きっと見るタイミングで感じることは違うのでしょうし。

というわけで、きちんとした解説ではなく、ただただ私があの時に感じたことをつらつら書いていきます。

印象に残った作品たち

何もない空間かと思いきや、よーく見ると糸が張り巡らされています。

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f:id:over-flow:20171101135414j:plain▲「yt/forty two」プラバワティ・メッパイル

アメリカの独立記念日や偉人たちの亡くなった日、作者の個人的な記念日などがぎっしりと書き込まれたカレンダー。密度がすごくて、見入ってしまいました。

f:id:over-flow:20171101135940j:plain▲「スタジオ・カレンダー」ロブ・プルイット

なんだか綺麗…と近づいていったら、ジェルに閉じ込められていたのはなんと銃弾。ソビエトアメリカが開発した銃弾を、ジェルの中で正面衝突させたのだそうです。

f:id:over-flow:20171101140729j:plain▲「AK-47 vs. M16」ザ・プロペラ・グループ、トゥアン・アンドリュー・グエン

自由に触れるブロック。積み木のようで可愛いですが、テーマは紛争。戦いによって町の様子が変わっていく様子を表しています。

f:id:over-flow:20171101142217j:plain▲「痕跡証拠」ブルームバーグ&チャナリン

どこまでも続くように見えて、いつまでも見入ってしまう不思議な作品。

f:id:over-flow:20171101142804j:plain▲「トンネル」マーク・フスティニアーニ

f:id:over-flow:20171101144434j:plain▲「穴」マーク・フスティニアーニ

カラフルで、いろんなポーズのクマ。可愛かったな。写真を撮っている人が特に多い作品でした。

f:id:over-flow:20171101143453j:plain▲「I and I (芸術のために立ち上がらなければ)」パオラ・ピヴィ

ソファが置かれた休憩スペースもある「ヨコハマラウンジ」。鑑賞終盤で、身体も頭もへろへろになっていたので、ありがたく休憩しました。

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f:id:over-flow:20171101144725j:plain▲研究者たちが議論を行った「ヨコハマラウンド」を図解したコーナーも。

フィクションが伝えられるもの

展示の中で特に印象に残ったのが、瀬尾夏美さんのものです。東日本大震災をモチーフにした絵と文章を発表していました。語り口も絵もとても優しくて、まるで絵本を読んでいるような気持ちに。「おとうさん、おかあさんの時代に何か大きな出来事があって…」ということを子どもが語っていました。

作品はお隣の美術情報センターにも。初めて訪れましたが、素敵な施設でした。

f:id:over-flow:20171101144037j:plain▲「二重のまち」瀬尾夏美

「実際の出来事をフィクションとして発表する」とはどういうことなのか、ずっとピンときていなかったのですが、この作品を見て、初めて少しわかったような気がしました。まだうまく言えないのですが、フィクションだから想像させることのできるもの、ノンフィクションでは伝えられないこともあるのだ、と。悲しいばかりではなく、じわっと心が温かくなるような、素敵な作品でした。

さて、この後は赤レンガ倉庫へ向かいます。

ヨコハマトリエンナーレ2017